さり気ない演出でキャラクターの個性や舞台設定を表現する方法

突然ですが無駄な演出ってどんなものだと思いますか?

物語の最初にスクランブル交差点をたくさんの人が歩くシーン、主人公が足を組むシーン、コンビニの前で学生が喋ってるシーン、野良猫があくびをするシーンとか挙げだしたらキリがないと思います。

これらの演出は確かに単体ではあまり意味がないかもしれません。

しかしこういったさり気ない演出の積み重ねによってキャラの個性や舞台設定を自然に表現している作品は多くあります。

そこでなぜ小さな演出を積み重ねると自然な表現ができるのかを調べてみました。

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物語に関係ない演出はあまり存在しない

例えば主人公が家の勉強机で本を読んでいて、指で机をリズムよくツンツンと叩いているシーンを想像してみてください。

本は机の上に置いているので、ページをめくるときには片手しか使いません。

もう片方の手は常に机の上でお留守になっているため、無意識に机を指でツンツンしています。

このシーンだけを見た場合、読書にあまり集中できていないのか、単にそういう性格なのかクセなのかがいまいちわからないし、あまり意味のない演出だなと思うかもしれません。

しかし同じような状況で机を指でツンツンしているシーンが何度もあると、この行為はこのキャラのクセなんだとか、考え事をしているときは指をツンツンするキャラなんだなというのがわかります。

さらにこの後主人公が学校のテストのときにいつもより速いリズムで机を指でツンツンしているシーンがあったとします。

すると指をツンツンしているという演出をするだけで問題がわからなくてイラついているんだなとか、苦戦してるなとかがわかります。このとき別に表情を映さなくても指が動いてるシーンを映すだけで効果があります。

もし今までに指をツンツンする演出がなかった場合、この主人公はテスト中だけどトイレに行きたいのかな、などと少し違う印象を与えてしまうわけですね。

こんな風に考えると物語の中で無駄な演出ってほとんどないのではと思いませんか?

意味があるかどうかわからない小さな演出でもそれが積み重なって意味のある演出になるのです。

それではこういう演出にはどういった種類があるのでしょうか。

いくつか例を挙げてみます。

キャラの個性を引き出す演出

さっき例に挙げたような考え事をしているときは指をツンツンするみたいな演出のことですね。

別の例を挙げて説明すると、あるキャラが学校へ行く時間や待ち合わせの時間になかなか来なくて、いつも遅刻ばかりするみたいな演出があったとします。

こんな演出でも積み重ねていけば、時間にルーズなキャラを演出できます。

ここで重要なのはナレーションや他のキャラにいちいち言及させなくてもいいという点です。

特にこういったことをいちいちキャラに言わせると説明口調が中心になりがちです。

例えば普段相手の目を見て喋ることができないという演出を積み重ねられたキャラが、いざというときに相手の目を見て喋ると、誰かが説明しなくてもそのキャラの本気度を表現することができます。

小さな演出を積み重ねてさり気なくキャラの個性などを表現できれば、それが1番自然なのです。

伏線にするための演出

伏線を悟られないようにするために小さな演出を積み重ねていく方法があります。

伏線とは回収して初めて、あのときのあのシーンはあんな意味があったのかと思わせる手法のことで、シナリオ展開に深みを与えるとても人気のある手法です。

伏線は張った段階でそれが伏線だと悟られてはいけません。

必ず回収されたときにあれは伏線だったんだなと思わせる必要があります。

例えばさっき書いた遅刻してばかりの時間にルーズなキャラは、実は複雑な家庭に育ち隙間時間を見つけてはアルバイトをしなければいけない立場で、そのせいでいつも約束の時間に遅れてしまう、みたいな理由があったとします。

この場合はそのキャラの複雑な事情が明らかになった時点で、小さな演出(遅刻ばかりしている)によって積み重ねられた伏線を回収したことになります。

このように読み手さんがあまり気に留めない小さな演出を伏線に利用することはよくあります。

物語の舞台を説明する演出

現代の日本が舞台の作品の場合、物語の最初にナレーションに「2018年日本」みたいなことを言わせますか?

そんなことをしなくても物語の最初に現代風の街並みのシーンをいくつか映しておけば舞台が現代なのはわかります。

学園ものの場合でも学校内のシーンとか、学生が喋っているシーンとか、グラウンドで部活動をしているシーンとかを映しておけばすぐに伝わるはずです。

特に学園ものは細かい設定を説明しなくてもいい舞台と言っても過言ではありません。

学園ものが書きやすくて読まれやすい理由に関して以下の記事を書いたので、ぜひこちらもご覧ください。

学園を舞台にした作品は非常に多く、これらはとても人気が高いです。学園もののジャンルには作り手さんと読み手さんの両方に好まれる理由があります。そこで学園ものの作品の人気の秘密を調べてみました。

物語の最初のさり気ないシーンの連続は物語の舞台を説明する役割があるのです。

でもこれらは現代が舞台だからできるわけで、時代設定が変わるとナレーションに説明させないといけないのではと思いますが、必ずしもそうではありません。

例えば一昔前の時代設定で書きたい場合は、スマホじゃなくてガラケーを使っているシーンを書くとか、想定している時代に流行った言葉をキャラに言わせるとか、そもそもSNSとかが全然普及してないという前提で書いてみると、読み手さんは少し昔の設定なんだなと理解してくれるはずです。

昔の時代設定にすればするほどその時代の資料が必要になりますけどね。

よければ1970年から2000年の初任給や物価を比較した以下の記事もぜひご覧ください。

過去の日本を舞台とした作品を制作するときに、その時代の一般的な収入額や物価を知っているとよりリアリティのある作品に仕上げることができます。そこで1970年代から2000年代の一般的な収入額や物価を調べてみました。

また明確に西暦が設定されている作品ばかりではなく、中には「200X年」みたいな感じで西暦を曖昧に表現してある作品もありますね。

どうやら作中で必ず具体的に年月日を書かなければいけないということはなさそうです。

まとめ

誰も目に留めないような小さな演出でも、積み重ねていけばいろいろなことを表現でき、これらが無駄な演出ではなかったことがわかります。

また読み手さんにわからないように積み重ねられた演出は伏線としても利用することができます。

こういった小さな演出を積み重ねていくやり方は他にもたくさん存在します。

面白い作品を見つけたら、小さな演出を見逃さないようにチェックしてみましょう。

見つかった小さな演出には必ず何か意味があるはずです。