物語に登場するキャラが命を落としてしまい、そのまま退場してしまうという展開ってありますよね。
特に死生観をテーマとして扱った作品では、こういった展開が非常に多いです。
そこでキャラが物語から退場すると一体どのような効果が得られるのかを調べてみました。
なお作品によっては死後の世界が存在したり、キャラを復活させることが可能だったりするので、ここでは2度と物語に再登場できないという意味で退場という言葉を使います。
死生観とは何か
死生観とは生死に対する考え方のことで、これは人によっていろんな考え方を持っていると言われています。
その考え方こそ違えど、ある意味ですべての人間に存在する共通認識だと言えます。
そのためフィクションの物語だったとしても、キャラが退場するという展開があった場合、多くの人が自分の身の回りで起きた生死に関する出来事などと重ね合わせて、いろいろなことを考えさせられるのです。
退場にはどういった効果があるのか
このキャラを退場させるという展開は、読み手さんに命の大切さを考えさせる効果だけではありません。
作り手さんが作品を制作する上でいろんな効果を発揮してくれます。
それでは1つずつ見ていきましょう。
キャラの考え方を変えさせる
現実で身近な人を亡くしてしまった場合、そのことがきっかけで考え方が変わる人は少なくありません。
それは物語の中でも同じことで、そのキャラと親しかったキャラが退場してしまうという展開が、人間的に成長したり、今までの考え方を否定するきっかけになり得るのです。
この展開はキャラの動機付けとしては非常に強く、身近なキャラが退場したという理由が目的意識や原動力となっているパターンが既存の作品でも多く見られます。
物語に緊張感を与える
現実で自分の命がかかった状況というのはそうそうありませんが、もしそういう状況になった場合、とてつもないほどの緊張感に襲われるはずです。
物語でも同じことで、キャラを退場させることによって、他のキャラに自分が同じ目にあっていたかもしれないという緊張感を与えることができます。
また同時に読み手さんにも他のキャラがいつ退場してもおかしくないという緊張感を与えることができます。
特にホラージャンルの作品にはキャラが次々と退場してしまうという展開が多く、緊張感を与える効果が存分に発揮されているわけですね。
シナリオのつじつまを合わせることができる
これはどちらかと言うと作り手さんの都合です。
綿密なシナリオを考えようとすればするほど、避けて通れないのがシナリオが矛盾してしまう、または破綻してしまうことです。
このようにつじつまの合わないことが発生したりすると読み手さんが評価を大きく下げるきっかけになります。
こういったシナリオの矛盾や破綻は、主に時系列や時代設定、またはキャラの周りで発生します。
あるキャラの周りで矛盾や破綻が発生してしまうことに途中で気づいた作り手さんにはやがて悪魔のささやきが聞こえてきます。
「このキャラを退場させてしまおう」
これはネタではなく実際にシナリオ進行にとって都合が悪くなったキャラが退場させられるケースは結構あります。
すでに作品を一部公開しており、どうしてもシナリオを修正することができない場合があり、特定のキャラを退場させることで解決できることがあるからです。
それでも上手い作り手さんは特に不自然さを感じさせることなく、キャラを退場させたりできるので、その点は本当にすごいと思います。
まとめ
キャラを退場させることによって、他のキャラの動機付けを行ったり、緊張感を与えたり、シナリオのつじつまを合わせるための調整ができます。
一見すると作品制作において効果的な手法に見えますが、この展開が頻繁に発生すると、作品内における命の扱いが軽くなるので、とにかくキャラを退場させればいいというわけではなさそうです。
またこのとき演出も重要で特に映像作品の場合はBGMにもこだわる必要があります。
BGMの重要性についてまとめた以下の記事も、ぜひご覧ください。
適切なタイミングでキャラを退場させることで得られる効果はとても大きいので、ぜひその適切なタイミングを研究してみてはいかがでしょうか。