異世界ものは人気が高いジャンルで、多くの作品が存在します。
こういったジャンルの作品は昔から存在しましたが、ここ数年で一気に人気が高まっていると考えられます。
このジャンルは読み手さんに人気があるだけでなく、作り手さんにも人気があります。
そこでなぜ異世界もののジャンルが作り手さんにも人気があるのかを調べてみました。
もしよろしければハードモードな異世界ものについて書いた以下の記事もぜひご覧ください。
目次
異世界ものにも種類がある
異世界ものと言ってもいろいろな種類があります。
それではその種類を1つずつ見ていきましょう。
仮想世界もの
主にオンラインゲームなどの仮想世界が舞台となっている作品のことです。
仮想世界は現実世界のサーバーに存在していたりしますが、個人的にオンラインゲームが舞台の作品は異世界もののジャンルの1つだと思っています。
ただし現実世界と仮想世界を行き来したり、現実世界とのつながりが多く見られる作品の場合は異世界ものではなく、どちらかと言うと現実世界もののジャンルに分類されるんじゃないかと思ってます。
しかし正直こういうジャンル分けはキリがないです。
例えば現実世界と仮想世界を同じくらい行き来する作品は現実世界ものなのか異世界ものなのかと言われたら人によって意見が分かれると思いますし、こういうのってたぶん明確に定義として決まっているわけでもなさそうなので、あくまで参考程度ということで。
これはゲームが好きな人にとって特に人気が高いと言えますね。
ハイファンタジーもの
主人公は異世界生まれ異世界育ちで、後述の転移および転生をしていない作品のことです。
こういう作品は異世界ものと呼ぶより、ハイファンタジーと呼ぶらしいです。
一方で現実世界が舞台だけど一部あり得ない設定があったりする作品のことをローファンタジーと呼ぶそうです。
主人公が異世界に転移や転生などをする作品を特に異世界ものと呼ぶ場合が多いような気がします。
異世界転移もの
もともとは現実世界で生きていた主人公がある日何らかの出来事により異世界に転移してしまった作品です。
主人公は現実世界で生まれ育ったので現実世界の知識や常識を持っています。
個人的にこれは本当に作りやすいと思っています。
異世界の住民とのさり気ない会話によって元いた世界と今いる世界の違いを自然に説明することができ、主人公が文化などの違いに反応するたびに異世界の住民との会話を弾ませることができ、主人公と他のキャラとの会話で困ることがありません。
また異世界から来たというだけで主人公に特別な設定を付け加えやすいです。
さらにその世界特有の道具などに対して、あれは現実世界でいう電話のようなものだとか自転車のようなものだとかみたいに主人公に説明させやすいので、作り手さんにも読み手さんにもやさしいです。
ただし言語の壁をどう解決するかという問題があります。
しかし有名な人気作品でも、どこの誰でも言葉が通じる場合が多く見られ、言語の壁があるという事情をあえて描写しないのも1つの方法と言えますね。
異世界転生もの
もともとは現実世界で生きていた主人公が事故などによって亡くなり、異世界に転生してしまった作品です。
なんで転生する必要があるんですかと最初に思ったのですが、この転生という過程を経ることには大きな意味があります。
前世の記憶を維持したまま異世界に生まれ変わることによって、前の世界と今の世界の両方の知識や常識を持っているという状況を作り出せます。
これにより異世界転移で問題になっていた言語の壁は気になりませんし、主人公が前の世界と今の世界の事情を知っているという前提で話を進めることができます。
その他にも転生することにより主人公の性別や種族を変えることができたり、特別な能力を付与したりといろいろなことができるようになります。
また転移や転生するわけではなく異世界の人物に憑依するタイプの作品もあります。
異世界ものは作りやすい
異世界と言うと自分で複雑な歴史や世界観を考えなければいけなくて難しいイメージがあります。
確かに細かい部分を作りこんでいくのは大変です。
1から世界を創造するわけですから途方もない時間がかかると思われます。
しかし共通認識を取り込むことによって異世界の設定は比較的楽に作ることができます。
この設定の作りやすさが異世界ものの人気の秘密なのではないかと思っています。
この共通認識に関しては、学園ものがなぜ作りやすいのかを書いた以下の記事で少し触れていますので、ぜひこちらもご覧ください。
それでは共通認識を取り込むとはどういうことなのか1つずつ見ていきます。
現実世界の設定を利用できる
異世界ものだからと言って現実世界とまったく違う設定である必要はありません。
共通認識である現実世界の設定を一部利用することで、1から世界観を想像する必要がなくなります。
例えば異世界にも現実世界と同じように警察のような組織があったり、病院があったり、裁判所があったりしても別に不自然ではないですよね。
しかも現実世界のそれらとまったく同じにする必要はありません。
これがとても重要なことで、こういう組織などの設定は作り手さんが自由に作り変えてしまってもいいのです。
例えばこの世界の警察官は魔法使いにしかなれないとかみたいに現実にはないルールを決めてしまってもいいのです。
現実世界の警察と違うじゃんと突っ込まれたとしても、この世界の警察はこういうものだからという言い訳ができます。
つまり共通認識である現実世界の設定を作り手さんが創造したい異世界風にアレンジすることができるので、必ずしも1から独自の設定を考える必要はないわけです。
多くの作品に共通する設定を利用できる
たぶんこれが異世界ものの作品が作りやすい最も大きな理由の1つだと思います。
異世界もののジャンルの作品によくある設定の例として挙げられるのが魔法ですね。
魔法というものは不思議な力でいろいろなことができるアレのことです。
アレじゃわからないと言われるかもしれませんが、実際には魔法が何か知らない人ってあまりいないと思います。
というのもこの魔法という設定は小説・漫画・アニメ・ドラマ・映画・ゲームなどを問わず、多くの作品に登場する設定なのです。
この魔法という設定が一般的になりすぎた結果あることが起きてしまいました。
魔法という設定が共通認識になったのです。
これは魔法だけではなく、例えばゲームで敵を倒したら経験値を獲得することができて、経験値が一定値たまるとレベルが上がって、レベルが上がると新しいスキルが使えるようになって…みたいな設定もRPGのジャンルのゲームでは当たり前になりすぎて、共通認識となっています。
他には魔王が世界を支配していて外にはモンスターがいっぱいいて、それらを剣や魔法で倒していって…っていうのも共通認識になりつつあります。
あとは現実世界の設定と同様に、この共通認識を自分が創造した世界風にアレンジして取り込んでしまえば、難しいことを考える必要はなくなります。
またオンラインゲームのMMORPGにありがちなシステムに関する以下の記事もよければぜひご覧ください。
異世界に決まったルールがない
上記のように現実世界や多くの作品によくある設定を共通認識として取り込みまくっても、作品自体が不自然になることはあまりありません。
それは異世界には絶対にこうでなくてはならないというルールがないためです。
このため共通認識を好きなようにアレンジして取り込んでも問題ないわけですね。
それにたいていのことはこの世界ではこうなっているからと言えば説明できてしまいます。
これが現実世界を舞台とした作品との大きな違いと言えますね。
まとめ
異世界ものの作品はオンラインゲームの世界のような仮想世界が舞台となっていたり、主人公が現実世界で転移や転生をして異世界に移動するものがあります。
これらの作品は現実世界の設定や多くの作品によくある設定の共通認識をアレンジして取り込むことでグッと作りやすくなります。
また異世界には決まったルールがないため、現実世界と比較しておかしな設定があったとしてもそこまで大きな問題にはなりません。
つまり作り手さんは考えるのが面倒な設定はほどほどにしておき、こだわりたい設定を考えるのに多くの時間を費やして専念することができるわけです。
そして共通認識を多く利用している作品は読み手さんが小難しいことを理解する必要がありません。
これらが異世界ものが多くの人に支持され人気な理由なんだと思います。